内縁の配偶者は相続権を持ちません。
つまり、内縁の配偶者が先立ってしまった場合、たとえそれが財産分与の名目であったとしても、財産を相続することができないのです。
その一方で、内縁関係を解消するならば、共有財産を分与することが可能です。
それなら、家はどうなるのでしょうか。
内縁の妻と家を所有する時、その家の相続はどうなるのかという事についてお話しします。
家は共有財産になる
内縁の夫婦は、法律上の夫婦と同じく共有財産を有します。
そして、家も共有財産となるため、家の名義は2人の名義にすることが可能です。
もしも夫のみならず、内縁の妻も家の名義人としておけば、夫に何かあったとしてもその家は妻のものとして残るのです。
また、アパートなどを借りる場合も2人の名義にしておけば問題はありません。
後で述べますが、決して夫のみの名義にしておいても問題はありません。
しかし、特に家を所有する場合は共有財産として2人の名義にしておいた方が良いでしょう。
賃借権
内縁の配偶者は相続権を持ちません。しかし、唯一賃借権だけは持っているのです。
もしも夫が先立ち、内縁の妻が残った場合、そして住んでいるいやいや借りているアパートの名義が夫の名前であった場合、内縁であったとしても、その内縁の妻には賃借権がありますから、妻が家を追い出されるという心配はないのです。
仮に夫の名前でアパートを借りていたとしても、そのアパートを相続するという形で引き継ぐことができ、内縁の妻はそのアパートに住み続けることができるのです。
内縁のパートナーが先だったからといって、家を追い出されるという心配はしなくて大丈夫です。
内縁を証明する必要がある
確かに内縁は事実上の婚姻関係と認められるようになりましたが、その内縁関係を証明するという事は一筋縄ではいきません。
確かに、両者に婚姻の意思があり、生計を共有しているという2つの条件が必要になりますが、特に片方が先立ってしまった場合、両者に婚姻の意思があったということが証明できなくなります。
そのため、内縁関係を客観的に証明できる書類を用意しなければいけません。
例えば、2人が何年一緒に住んでいるかわかる住民票は内縁関係を証明するための強い味方です。
住民票を移す事は難しいことではありませんから、内縁関係だとなった時点で住民票を調整しておきましょう。
まとめ
いかがでしょうか。
内縁関係であったとしても共有財産ということで家の所有は可能です。
また、内縁関係の片方に何かあったとしても、賃借権はあるということを覚えておきましょう。
自分の名義ではないアパートに住んでいたとしても、追い出されたりはしないのです。