法律上は配偶者に準ずるものとして認められるようになった内縁の夫婦ですが、それでも婚姻届を出した法律上の夫婦に比べれば、様々な制限があります。
子供が生まれても2人の子供というわけにはいきませんし、相続権もなければ扶養に入ることもできません。
それなのに、なぜ人々は内縁関係を選ぶのでしょうか。
ここでは、なぜ結婚しないのか、なぜ内縁関係を選ぶのか、ということについてお話しします。
離婚した元配偶者との取り決めだから
意外に多いケースが、元配偶者と「婚姻関係は結ばない」という条件の下で離婚しているケースです。
例えば、夫が会社を経営しており、すでに跡継ぎとなる子供がいるとします。
もしその夫婦が離婚し、夫が新たな女性と結婚してその間に子供が生まれたら、その子供にも相続権が発生します。
もしも夫に何かあれば、新たな女性が財産の半分を取り、子供たちは残りの財産を分けるという形になります。
それを防ぐために、離婚する際には「新たに入籍しない」という条件を付けることがあるのです。
法律上の結婚相手がいなければ、財産を全て子供が引き継ぐことになります。
もちろん、内縁の関係であったとしても特別縁故者や遺言書という方法で相続権を得ることは可能ですが、特に夫が事業主の場合、離婚条件として新たな入籍はしない、ということを掲げる夫婦は決して少なくはありません。
結婚という制度に縛られたくないから
なぜ結婚しないのかという疑問に対し、なぜ結婚しなければいけないのかと考える人もいます。
特に女性にとっては結婚したら苗字や住所が変わるなど、変化がたくさんありますよね。
男女平等社会とは言え、いまだに女性の方が多くの変化を求められます。
そして、「嫁ぐ」「相手の家に入る」という変化を求められ、相手の家の人間として生きていかなければいけないと考えられています。
そのような結婚という制度に縛られたくないと考える夫婦の中には、内縁関係を選ぶ人も少なくはありません。
このような人たちは、なぜ結婚しないのかという問いに対し、「結婚しなくても幸せだから」という理由で内縁関係を持っていることがあります。
子連れの再婚だから
日本では、全体の夫婦の2割から3割が離婚すると言われています。
そして、離婚する夫婦の中には子供を連れて離婚する人もいますよね。
その後、仮に素敵な人と出会い、結婚したいと思っても、やはり子供がいるとなると結婚に躊躇してしまうという人もいるのではないでしょうか。
子供がいる場合、内縁という関係を選ぶ人がいます。
一緒に生活するならば、なぜ結婚しないのかと周りも不思議に思うかもしれませんが、内縁関係ならば何よりも婚姻届を出しませんから、子供の苗字が変わりません。
子供の苗字が変わらなければ学校などで周りからからかわれるということもありませんよね。
しかし、一緒に暮らして生計を共にするということで、もしも母子家庭ならば金銭的にも楽になりますし、父子家庭ならば家事という点でも助けが得られるというメリットがあります。
まとめ
いかがでしょうか。
もちろん、一般的な事実婚とは異なり、内縁には不倫や浮気といった「社会的には受け入れられないような婚姻届を出さない理由」も含まれていることがありますので、内縁関係を維持している夫婦の中には戸籍上の配偶者が存在するという人もいます。
しかし、やはり内縁を敢えて選ぶ人々も存在するのです。