近年は様々な夫婦の形態が出来上がり、内縁の配偶者というものも一般的に認められつつあります。
内縁とは、婚姻届は出していないけれど、実質的に夫婦として成り立っている関係を指します。
共に暮らし、生計を共有しているのならば、それは法律的な配偶者と何が違うのでしょうか。
ここでは、内縁の配偶者が配偶者控除を受けられるのか、という点についてお話しします。
配偶者控除について
配偶者控除について聞いたことがあるでしょうか。
所得税法第83条には、「居住者が控除対象配偶者を有する場合、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額または山林所得金額から38万円を控除する」と規定されています。
つまり、納税者と婚姻関係にあり、生計を共にし、年間の合計所得金額が38万円以下の場合、税金の控除を受けることができるというものです。
内縁の配偶者は対象外
それならば、内縁の配偶者の場合は配偶者控除を受けることができるのでしょうか。
国税庁は、「配偶者控除の対象となる配偶者とは、民法の規定により効力が生じた婚姻に基づく配偶者を指す」「いわゆる内縁の妻など、事実婚の相手方は民法の規定による配偶者ではないため、配偶者控除の対象とはならない」と述べています。
つまり、内縁の配偶者は配偶者控除を受けることができません。
確かに事実上の配偶者ではあるのですが、法律的に配偶者ではないため、控除されることがないのです
これは人権侵害にあたるのか?
人によっては、内縁の妻は事実上の配偶者なのにも関わらず、例えば扶養に入ることができなかったり、控除を受けられなかったり、ということに対し、内縁の配偶者に対する人権侵害であるなどと指摘する人もいます。
しかし、もしも法律上の配偶者ではないにも関わらず、控除を受けることができたら、偽装結婚などという問題が多発してしまうのではないかという懸念があります。
また、日本は一夫一婦制ですが、法律上の配偶者以外を認めてしまえば、この一夫一婦制が崩れてしまう可能性も出てくるのです。
まだまだ内縁の配偶者に関しては課題がたくさんあるのが現実です。
法律上の夫婦とまったく同じ、というわけにはいかないのです。
まとめ
いかがでしょうか。
内縁は確かに事実上の婚姻ではありますが、法律上の婚姻ではないため、法律上の配偶者と全く同じ待遇を受けるという事はできません。
また、市町村によって待遇が異なることもありますから、必要に応じて市役所などを訪れてみることも大切です。